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テレワークでも必要な紙資料・・・出社の必要がなくなる文書管理とは?

2020年は新型コロナ感染拡大防止のための「緊急事態宣言」が発令され、企業へ出勤自粛が要請されたことにより、多くの企業でテレワークが導入されました。テレワークの運用は、多くの企業にとって「新しい日常」となった形です。

一方で、テレワークが日常となることによって、企業活動にとっての課題が浮き彫りになったこともあります。その一つとして挙げられるのが、膨大な「紙資料」の存在です。

今でも企業内で使われ続ける紙資料

コロナ禍以前から、企業活動におけるペーパーレス化は課題として意識されていました。ペーパーレス化とは、これまで紙で利用されてきた文書、書類、帳票類を電子ファイル化してパソコンなどで閲覧できるようにすることです。この取り組みによって、さらなる業務効率の改善が期待できます。

ただ、企業がペーパーレス化に取り組むメリットは、業務の効率化だけではありません。紙代や印刷代、保管代などのコストが削減できたり、情報セキュリティを強化できたりするメリットもあるのです。

しかし、依然として紙の資料が使用され続けている企業も少なくありません。その事実について、統計資料から見ていきましょう。

日本製紙連合会が発表した「2020年 紙・板紙内需試算報告」に掲載されている紙需要の実績と予測によると、紙全体の需要はペーパーレス化の推進と人口減少などの要因によって、2011年以降漸減しています。

とくに、新聞用紙の需要は、情報収集手段の多様化に伴って若年層を中心に「新聞離れ」が進んでいること、そしてマスコミからSNSにシフトしていることなどが要因となって、減少傾向が顕著になっているのです。

(出展:日本製紙連合会「2020年 紙・板紙内需試算報告」より)

一方、企業の文書類や帳票類になる情報用紙の需要は、減少こそしているものの落ち込みは新聞用紙ほどではありません。企業が使用する紙類がそれほど減っていないことを示しているといえるでしょう。

情報用紙の内需量

(出展:日本製紙連合会「2020年 紙・板紙内需試算報告」より)

それでは、現在でも企業で紙が使われ続け、ペーパーレス化が進んでいない理由は何なのでしょうか。その一つの理由として考えられるのは、会社の規定で文書・帳票を紙に指定していることです。たとえば、近年のオフィスワーカー144人を対象とするアンケートでは、なぜ紙にプリントアウトするのかという質問に対し「紙で提出・保管・配布する規定がある」という答えが44.9%と一番多くなっています。

また、ペーパーレスでは作業効率が下がってしまう人がいるという点も、ペーパーレス化が進まない理由の一つとして挙げられるでしょう。書類のペーパーレス化は、パソコン操作やネットワークへのアクセス作業、セキュリティ対策の知識など一定程度のICTリテラシーが求められます。そうしたデジタル技術に慣れていない社員の場合、紙で行っていた作業の何倍もの時間が同じ作業にかかってしまうケースが発生してしまうのです。

さらに、初期コストの問題も挙げられます。ペーパーレス化により、導入後の紙代や印刷代などは節約されますが、導入時には紙の代わりとなるパソコンやタブレット、システム構築などの初期投資が必要です。また、これらデバイス機器などを使用する社員に対する、ICTリテラシー向上のための教育に一定の費用を費やすことも考えられます。

そして、法令の問題も、ペーパーレス化が進まない一つの理由として挙げられるでしょう。一部の文書は、法令により電子文書が許可されていないものがあります。内閣官房IT総合戦略室の分析結果によりますと、一般事業者が関係する取引文書で書面が義務化されているものは321あるとのことです。代表的なものを列挙すると、以下のものがあります。

文書名 根拠法令
不動産取引における重要事項説明書 宅地建物取引業法
定期借地契約書、定期建物賃貸借契約書 借地借家法
マンション管理業務委託契約書 マンション管理適正化推進法
特定継続役務提供における契約書 特定商取引法
金融商品のクーリングオフ確認書 金融商品取引法

(出展:内閣官房IT総合戦略室「法令等により書面による保存、交付等が規定されている手続等の調査」より)

ただし、菅義偉政権のもとでさまざまな手続きのデジタル化が推進されていますので、こうした文書も将来的にはデジタル化が可能になるかもしれません。

(参照:日本画像学会誌 「ペーパーレスオフィスはなぜ来ないのか? 紙はどこで使われるのか?」 )

テレワーク推進に立ちはだかる「紙資料の壁」

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2021年の年明け早々より1都3県や関西圏などに緊急事態宣言が発出され、対象区域は10都道府県を超えました(2021年1月現在)。

人と人の接触機会を減らすことが、より重要視されるなか、テレワークの推進・拡大は官民挙げての取り組みになっていくでしょう。

テレワークの推進・拡大を図る企業にとって、頭を悩ませているのが情報セキュリティの問題です。企業の紙資料には機密文書も一定の割合で存在します。オフィス内で業務を行っている場合には問題にならなかったことも、テレワークとなると情報漏えいリスクが格段に高まります。

NPO日本ネットワークセキュリティ協会の調査によりますと、2018年の情報漏えい件数全体443件のうち紙媒体からの漏えいは132件と、最も高いことがわかっています。そのため、文書・帳票類の社外持ち出しを禁止としている企業も多いのです。

また、前述の初期コストの問題も忘れてはなりません。膨大な紙資料のペーパーレス化は、かなりの人的金銭的コストを伴います。ただでさえコロナ禍で業績が厳しくなり、経営資源がひっ迫しているなかのペーパーレス化への着手は、企業にとって決して簡単なものではないでしょう。

結果としてテレワークで業務を完結させることができず、紙資料を参照したり、判子の捺印のために出社を余儀なくされたりするケースも考えられます。つまり、紙資料の存在はテレワーク推進におけるボトルネックともいえるものであり、この克服が課題となっているのです。

(参照:日本ネットワークセキュリティ協会「2018年情報セキュリティインシデントに関する調査結果」 )

文書管理によるテレワークの効率化とは?

紙資料の存在というボトルネックの課題解決のためにも、ビジネスにとっての「文書管理」の意義を再確認しつつ、解決策を見出していきましょう。

新型コロナ感染拡大に伴い、テレワークの導入が進んだことによって、文書管理の重要性があらためて見直され始めています。文書管理を定義すると、企業が持つ契約書や管理マニュアル、帳票類などの文書を「発生」「活用」「保存」「廃棄」の流れに沿って適切に管理することといえます。ただ静的に保管・保存するだけでなく、必要な文書を、必要な人が、必要なときに、どこにいても、すぐに取り出して利用できるように管理する必要があるのです。

文書管理の目的は大きく分けると2つあります。一つは、法令遵守の側面です。企業は法令で定められた文書を保管・保存することが義務付けられています。もう一つが、企業活動に必要な情報を有効に活用し、企業価値を向上させるためのものです。適切な文書管理は以下の効果をもたらします。

・業務効率化と生産性の向上
必要とされる文書をスムーズに検索し、利用できるようにすることで、業務を効率化できます。業務に有用な情報内容や知識を共有することで、社員全体の業務の質的向上が期待でき、生産性の向上へとつながります。業務効率化・生産性の向上とともに、文書の保管スペースを縮小させることができるため、文書管理コストの削減が可能です。

・情報セキュリティ対策の強化
適切な文書管理は情報の漏えいや文書の紛失を防止できます。営業秘密の保持や個人情報保護が求められている現代に不可欠なリスク・マネジメントといえるでしょう。

・顧客満足度の向上
取引履歴やサービスリクエストなどの顧客データを共有することによって、過去の取引状況やニーズを踏まえた、きめ細かい提案が可能になり、顧客満足度・ロイヤリティの向上が見込めます。

また、文書管理の最適化は、オフィススペースのムダを省くことにもつながります。デスク周りやキャビネットを整理することで、働きやすい環境の実現につなげられます。オフィスワーカーがストレスなく業務に集中することによって、さらなる生産性の向上が期待できるとともに、オフィス面積の縮小(賃料の削減)を可能にすることができるわけです。

文書管理の最適化にはアウトソーシングの積極的活用を

文書管理の重要性を理解できたとしても、いざ実践となると二の足を踏んでしまうことがあるかもしれません。文書管理は、総務部などのバックヤード部門が担当することが多いわけですが、担当を命じられても何から手を付けて良いのか分からない担当者もいるのではないでしょうか。

文書管理ソリューションのすべてを内製化するのは、決して簡単なものではありません。そのため、文書管理ソリューションの内製化に経営資源を割かれるよりは、信頼できる専門事業者にアウトソーシングしたほうが効率的に作業を進められるでしょう。

NTT東日本グループ企業の株式会社アイ・エス・エス(略称ISS)は、そのような企業様のニーズにお応えします。まずは文書管理のコンサルティングを行い、お客様から現状をヒアリングし、収納量・利用頻度等の個別の事情に即したオフィスの書類の整理・管理方法を提案します。

ISSによる文書管理ソリューションには、以下のようなものがあります。

・書類保管・廃棄サービス
大切な文書を堅牢かつ高セキュリティな倉庫でお預かりします。廃棄はご指定の書類を未開封・未選別のままリサイクル溶解処理します。

・書類電子化サービス
文書をスキャニングし、電子データとして納品します。大型の図面にも対応可能です。もちろん、その後の保管や廃棄も対応いたします。

・発送代行サービス
倉庫に保管された文書から必要なものをご指定日に、ご指定先に発送いたします。

文書管理に伴うさまざまなタスクを、ワンストップサービスでISSが承ることが可能です。テレワーク推進・拡大に伴う文書管理ソリューションを高次化することで、さらなる業務の効率化と生産性の向上が実現できます。

コロナ禍では、こうした取り組みが積極的に求められる時代といっても過言ではありません。ぜひこの機会に、文書管理ソリューションの利用を検討されてみてはいかがでしょうか。