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文書管理の基本をふまえて電子化を実現~テレワーク化やオフィス刷新のためのお役立ち情報~

年度末や新年度を向かえるにあたり、オフィスの文書・書類の整理が課題となっている企業は多いでしょう。同時に膨大な文書・書類を前にして、事前の文書管理の重要性を痛感する担当者さんも少なくないでしょう。

近年は、あらゆる業種において「働き方改革」が叫ばれて来ましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、働き方改革は加速しつつあります。そのため、以前にも増してオフィスワーカーの生産性向上が求められています。また、コロナ禍の長期化が見込まれるなか、以前の働き方に戻ることは難しく、アフターコロナを見据えたオフィスの使い方を考えていく必要もあります。このような社会全体が直面している課題を効率的に解決する一つの手段として、文書管理の電子化が注目され始めています。

今回は、文書管理の基本について解説するとともに、文書管理を電子化するメリットや方法についても詳しくご紹介していきます。

避けられない?…文書管理の課題

ニューノーマル時代には、文書管理においてもこれまで以上の進化が求められています。その要点は次の2つです。

  1. テレワークを実現するためのシステム構築

    業務フローに紙の文書ベースの作業が含まれると、テレワークはスムーズに進みません。そのため、紙の文書を整理・分類して管理するという段階から電子ファイル化し、自社サーバーやクラウドサービスに保存。外部から参照できるシステムの構築が重要視されるようになってきました。

    これらを実現するためには、初期コストや、従業員のICTリテラシーの向上など、いくつかのハードルがありますが、奇しくもコロナ禍によるテレワークの普及によって、実現をサポートするサービスが増えています。従来よりもテレワークを実現するハードルは低くなってきているでしょう。

  2. フィジカルディスタンスを考慮したオフィスレイアウト変更

    交通・インフラ・医療・介護といった生活必須職を中心に、テレワークでは代替できない業種は数多く存在します。そうした業種においてもフィジカルディスタンス(※)を確保するためのオフィスレイアウトの変更が急務となっています。

    限られたオフィススペースの中で充分なフィジカルディスタンスを確保するためには、空間の無駄を徹底的に洗い出す必要が出てきます。そうした中で見直されたのが、壁面書庫やキャビネットなどの文書・書類保管スペースです。

    壁面書庫やキャビネットは、一定の面積を占めているにもかかわらず、利用頻度の高いものと低いものが混在していることも少なくありません。こうした書庫スペースを削減することができれば、大幅な省スペースが可能になります。充分なオフィススペースを確保できれば、従業員の感染リスクを回避しうるレイアウトが実現できるのです。

    ※身体的距離。ここでは、WHOの勧告に従い「ソーシャルディスタンス」を「フィジカルディスタンス」と呼ぶこととします。

ふまえるべき文書管理の基本


文書の適切な管理のためには、まず「文書のライフサイクル」を理解しなくてはなりません。生命の「一生」があるように、文書にも「一生」があるのです。この文書のライフサイクルについて、日本工業規格「JIS Z 6016:2015」では次のように定義しています。

『文書の寿命特性、又は文書を作成、登録、利用、保管・保存及び廃棄する一連のプロセスの全期間』

ここでいう「文書の寿命特性」とは、文書を使う頻度が時間と共に変化することを指します。たとえば、ある製品の見積書は、その製品が取引される日の前後数週間から数ヶ月までは頻繁に参照されますが、その後は徐々に見られなくなっていきます。それがライフサイクルから見た文書の寿命特性です。

文書のライフサイクルにおける各段階の要点は、以下のようになります。

  • 【発生(作成・入手)】
    文書管理は、「発生」の段階から意識する必要があります。会議で使用する資料を作成するのであれば、「そもそも紙の資料は必要か。プロジェクターの投影のみで良くないか。会議後PDFを一斉配布で代替できないか」と意識することが、紙の文書発生を抑えることにつながります。
  • 【保管】
    文書を必要に応じて参照・閲覧できる状態にしておく段階です。利便性の高さを前提に管理するため、取り出しやすい箇所に保管しておきます。保管期限は原則1年としている企業が多いようです。
  • 【保存】
    保管期間が終了した文書を、各種法令や各企業独自の管理規程で定められた期間、保存する段階です。企業が使用する文書には、法令で保存期間が定められた文書があり、「法定保存文書」と呼ばれています。一例として、永久保存するものとして定款、株主名簿、法人登記・訴訟関係書類などがあり、10年保存するものが株主総会議事録、取締役会議事録、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などがあります。

    企業のペーパーレス化を促進するための法律として「e-文書法」「電子帳簿保存法」がありますが、e-文書法の基本4要件「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」を満たしていない、または電子帳簿保存法の必須条件である「真実性」と「可視性」を担保できていない場合は原本を残す必要があります。

    また、請求根拠などの証跡となる文書は法定保存期間にかかわらず、リスク回避のために残しておく場合も多いでしょう。真に必要な文書・書類は残すという選択も、企業特性に応じて必要となります。

  • 【廃棄】
    法令と管理規程で定められた保存期間を終えた文書情報を、ルールに則って廃棄する局面です。ただ、すべてを廃棄するというわけではなく、「本当に廃棄してよいもの」と「保存期間を延長して保存を続けるもの」をこの段階で判断する必要があります。
  • 【文書管理規程】
    上記で述べてきた文書管理を最適化するためには、社内で統一されたルールづくりが欠かせません。このルールを定めたものが「文書管理規程」です。部門ごとには部門長が、全社的には役員の一人が責任者となり、組織に周知を徹底します。

文書管理の電子化におけるメリット・デメリット

紙の文書・書類を電子情報化することによって、文書管理システムはより一層進化することになります。そのメリットは多岐にわたりますが、大きくまとめると次の5点になるでしょう。

  1. テレワークへの対応
    紙媒体の情報が電子化され、自社サーバーまたはクラウドサービスによって活用されることで社外からの閲覧が可能になり、テレワークにも対応できるようになります。「紙の書類を参照するためだけに出社しなければならない」といった不合理がなくなり、業務効率を向上させることができます。
  2. 印刷や保管・保存にかかるコストの削減
    文書の印刷費、紙代、プリンター・シュレッダーの維持費などのランニングコストを削減することができます。文書の保管・保存のための書庫スペースはそれなりの面積を要しますが、その分のオフィス賃料が節約できます。
  3. 検索性の向上
    文書管理が電子化されることによって、情報の検索性が飛躍的に向上します。「あの文書はどこに保管していた?」と書庫を探し回るというような時間のロスをなくすことができます。
  4. セキュリティリスクの低減
    文書管理の中でも特に重要なのがセキュリティ対策ですが、情報漏えいは紙の文書の紛失、放置、誤廃棄などから発生していることがわかっています。情報の電子化によって、ヒューマンエラーを減らし、セキュリティリスクを低減させることができるでしょう。
  5. 経年劣化の防止
    紙の文書では、経年劣化による黄ばみや色あせなどが避けられません。そのため、文字や図面が見づらくなったり、ページが破れて判読できなくなったりすることもあるのです。その点、電子保存であれば、それらのリスクを回避することができます。

上記のようなメリットがある一方で、文書の電子化を行う上で注意しなければならない点も存在します。導入する際には、次のデメリットをふまえる必要があるでしょう

  1. システム導入・電子化のためのコスト
    小規模な企業、あるいは組織の1部署であっても、文書・書類の総量は相当なものになります。その文書すべてを自社で電子化する場合、スキャナーやOCRなどを用意しなければならず、何より膨大なマンパワーを必要とします。また、仮に外部委託した場合も一定のコストはかかってしまいます。
  2. 業務改革とそれにともなう社員教育
    紙媒体ベースで組み立てていた従来の業務フローから、電子情報にもとづく業務フローへの改革が必要です。従業員の一定水準のICTリテラシーが求められることになるので、従業員教育プログラムを組み入れる必要も出てきます。
  3. システム障害やサイバー攻撃の可能性
    機密文書を内包した情報をやりとりすることになるので、システム障害やサイバー攻撃への備えが必要になります。

ISSが貴社の課題解決をお手伝いします

文書管理の電子化は、デメリットを踏まえてもなおメリットの多いプロジェクトといえるでしょう。しかし、その工程すべてを内製化するのは決して簡単なものではありません。また、外部委託するとしても、企業内のすべての文書を電子化するとなれば、膨大な作業が発生します。そして、作業量の増加に伴ってコストも膨れ上がってしまう可能性が高いでしょう。

ただし、それらのリスクを回避する手段として、文書を選別してその一部を電子化するという方法も存在します。NTT東日本グループの株式会社アイ・エス・エス(通称ISS)では、高い信頼と実績に裏打ちされた技術とソリューションでそのプロジェクトをお手伝いいたします。

まずは現状を把握し、丁寧なヒアリングをもとに現状を分析するコンサルティングを実施。その後、文書管理システム構築の方針を決めていきます。「何を残し、何を捨てるのか」という選別をアシストいたします。

また、工程で発生する梱包作業、スキャニング作業、保管作業、開封・確認作業、廃棄(溶解処理)作業などの面倒な作業の一括引受も可能であり、すべてのタスクを実行するワンストップ・ソリューションを行っています。詳しいサービス内容にご興味がございましたら、ぜひ以下のページをご覧ください。

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