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ESGとSDGsに配慮した企業活動の実践とは

地球温暖化に関する話題が連日ニュースで取り上げられるなど、地球レベルの問題が私たちの生活に身近なものになってきています。これはビジネスの世界にも言えることで、一見すると企業の業務とは直接関係のないように思える事柄が、日常業務にも密接に関係するようになってきました。

企業がESG、SDGsに取り組む理由

近年では、ビジネスの世界で「ESG」「SDGs」といった言葉が頻繁に使われるようになっています。あらためてESG、SDGsの言葉の意味から確認していきましょう。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。企業の持続可能な成長のためには、これら3つの視点が必要であるという考え方を表しています。ESG経営、ESG投資という用語で、2010年頃から世界的に広まりました。

つまり近年は、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)などの財務諸表、自己資本利益率(ROE)や総資産利益率(ROA)などの投資指標だけでなく、その企業の経営姿勢や経営哲学がサステナブルか否かという視点が重視され始めているということです。

一方、SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年9月、ニューヨークの国連本部で開催された持続可能な開発サミットにおいて採択されたアジェンダであり、国連加盟国が2016年から2030年までの15年間にわたって達成に向けて取り組むべき国際目標とされています。具体的には、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」などの17の目標(ゴール)と169のターゲットから成り立っており、「地球上の誰一人取り残さないこと」が謳われています。

このSDGsを経営目標として設定している企業は、ESG経営を行っていると見ることができ、
積極的に取り組む企業が増えています。たとえば、帝国データバンクが2020年6月に行った「SDGsに関する企業の意識調査」では、「企業の24.4%がSDGsに積極的」との調査結果が出ています。

(参照:帝国データバンク「SDGs に関する企業の意識調査」https://www.tdb-di.com/2020/07/sp20200714.pdf

各企業がSDGsに取り組んでいる理由の1つとして、「企業ブランディング」があります。「わが社はESG経営にのっとり、SDGsの○○を経営目標としています」と宣言することで、その企業のブランドイメージの向上を図ることができるというわけです。

こういった企業ブランディングは、人材確保にも有利に働く傾向にあります。国際機関である世界経済フォーラムの2017年の調査によれば、「ミレニアル世代」「Z世代」と呼ばれる若者世代は、気候変動や社会問題に大きな関心を寄せていることがわかっているからです。これは国際的な調査の結果ですが、日本においても将来的には、次世代を担う優秀な人材はESG経営を行う企業、SDGsに取り組む企業を選択することになるでしょう。

また、最近では、企業のSDGsに取り組む意義が「ブランディング」という段階を大きく超え、現実的な金融の流れに関わってきています。なぜなら、世界中の機関投資家がこぞってESG投資に乗り出してきているからです。

世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国連が提唱しESGを投資プロセスに組み入れている「責任投資原則(PRI)」に2015年署名しました。その後もESG投資の比率を高めており、現在ESG投資は投資手法のメインストリームになりつつあります。つまり、SDGsに取り組む企業には資金が流入し、事業機会が増える構造となってきているわけです。

企業におけるSDGsの取り組み事例


それでは、日本の企業はSDGsに対してどのような取り組みをしているのでしょうか。ここでは、具体的な取り組み事例を2つ見ていきましょう。

事例1 株式会社滋賀銀行

株式会社滋賀銀行(高橋祥二郎取締役頭取、滋賀県大津市)は、2017年に「しがぎんSDGs宣言」を行い、「SDGsを経営に統合する」ことを公式に表明しました。

この宣言の大目標のもと、さまざまな取り組みを行っています。その取り組みの一つである金融商品「ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)」では、SDGsの趣旨に賛同して持続可能な社会づくりに貢献している事業者に対し、最大1億円を同行所定の金利から最大0.3%優遇して融資しています。

また、住宅ローンの連帯保証における配偶者の定義に「同性パートナー」を含める取り組みを2018年に開始しました。これは、近畿の地方銀行では初めての事業です。LGBTへの差別を解消するための取り組みの一つとなっています。

さらに2019年には、滋賀県湖南市が中心となって設立された地域新電力会社「こなんウルトラパワー株式会社」への出資を行っています。同社は太陽光発電と電力の小売のほか、公共施設の維持管理などの地域事業を一体的に担う事業体で、温暖化効果ガスを排出しない再生可能エネルギーを推進するとともに地域雇用を創出しています。これは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標8「働きがいも 経済成長も」に合致する取り組みといえるでしょう。

(参照:公益財団法人 地球環境戦略研究機関「滋賀銀行のSDGsの取り組み」 https://www.iges.or.jp/sites/default/files/inline-files/7_saito_0.pdf

事例2 IKEUCHI ORGANIC株式会社(愛媛県今治市)

IKEUCHI ORGANIC株式会社(阿部哲也代表取締役、愛媛県今治市)では、企業指針として「2073年までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る」という目標を立てました。そのため、2015年に本社工場は食品工場の基準ISO-22000を取得しています。現在は、食品の安全基準HACCP(ハサップ)に準じて生産しているそうです。

たとえば、製品に用いるコットンは、オーガニック・テキスタイルの世界基準GOTS認証をクリアしたオーガニックコットンのみを使用しています。さらに、気候変動問題に対応するために、工場やオフィスに使用する電力はすべて風力発電所で作られた電気を使用。「グリーン電力証書」というシステムを用いて、2002年には日本初の風力発電100%工場となりました。

また、体に安全で環境負荷の少ない染色を目指す「ローインパクト・ダイ」という考え方に基づいて、重金属を含まない反応染料を使用しています。最終の洗浄には石鎚山系の地下水(バージンウォーター)を使用し、廃水についても世界一厳しいとされている瀬戸内海の排水基準をクリアする浄化施設にてバクテリアを使って処理しています。

(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「ESG経営・SDGsのトレンドと中小企業におけるSDGsの取組事例」 https://www.tohoku.meti.go.jp/s_kan_ri/topics/pdf/200330_1.pdf

オフィスでできる第一歩


ESGの視点を持ち、SDGsを経営目標にする意義は理解できたものの、「何から始めれば良いのか分からない」「取り組み方が分からない」といった疑問が残ってしまう方も少なくありません。そのような場合には、ESG経営・SDGs取り組みの第1歩として始めやすい、オフィスから日々生み出される廃棄書類のリサイクルに取り組んでみるのも良いでしょう。

企業活動を進めていくと、オフィスや工場から廃棄すべき紙の書類・文書が大量に発生します。こうした紙の書類・文書を廃棄する場合、焼却処理が中心でしたが、環境負荷という視点で見ると持続可能とはいえません。

紙という素材は、森林を伐採して生産されます。「作っては燃やし」を繰り返していると、森林が減少し大気中に温暖化効果ガスが排出されることにつながります。そのため、紙を燃やさず、再生紙としてリサイクルするということが意識されるようになったのです。

また、従来は機密情報を確実に廃棄する目的としても焼却処理やシュレッダー処理が一般的でした。しかし、近年では機密情報を保持しながら「リサイクル溶解」ができるようになり、シュレッダー処理についても以下2つの理由から見直され始めています。

  1. 繊維が壊れてしまう
    シュレッダーで細く裁断した紙は、繊維が壊れてしまい再生できなくなってしまいます。
  2. リサイクル禁忌品が混じってしまう
    シュレッダー処理をすると、リサイクル禁忌品(カーボン紙、感熱紙、圧着はがき、芳香紙など)が混ざってしまうことが多く、廃棄事業者にも引き取ってもらえないことがあります。

そこで、環境にやさしい紙処理方法として注目を集めているのが先述の「リサイクル溶解」です。この処理方法では、「パルパー」という大型ミキサー機械に段ボール梱包された紙の書類をそのまま投入し、水と機械の撹拌で紙をバラバラの繊維になるまでほぐします。その繊維は製紙原料となり、ダンボール、更紙(ざらがみ)、再生紙などを製造することができるのです。

また、溶解処理は焼却処理と比べて、二酸化炭素や有害物質の排出量が少ないのが特徴ですが、溶解処理による再生紙の製造においても、新品の紙を製造する場合と比較して、二酸化炭素排出量を削減することができます。

なお、「リサイクル溶解」は、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」への貢献にも繋がります。

ISSによるESG経営のご支援

今回ご紹介した「リサイクル溶解」をはじめ、環境にやさしくESGやSDGsに配慮した書類・文書のリサイクルを検討する場合、以下2点が懸念事項になってくるかもしれません。

  1. 処理過程で機密文書が流出してしまうのではないか
  2. 導入コストが高くつくのではないか

株式会社アイ・エス・エス(通称ISS)では、これら2点を補う「エコロジーリサイクルサービス」によって、導入のハードルを最小化させていたくことが可能です。具体的には以下のソリューションをご用意しております。

  • 書類大量廃棄の一括引受
    年度末や決算後に紙の文書・書類を一括廃棄する、あるいはオフィスの移転やレイアウト変更で不要な文書・書類が大量に発生したときに書類廃棄の一括引受をいたします。なお、一括引受したダンボールは未開封のまま溶解処理するため、情報漏えいの心配はありません。また、金属製のクリップやホチキス、キングファイルで綴じた書類も環境に悪影響を与えることはなく、そのまま溶解処理が可能です。
  • ペーパーリサイクルBOX
    鍵付きの「ペーパーリサイクルBOX」をオフィスや工場に設置しますので、溶解処理までの期間不要書類を安全に保管することが可能です。あらかじめ決めておいたサイクルで、BOXに溜まった不要書類を回収します。
    また、BOXは金属製、鍵付きなので、セキュリティも万全です。BOX内のダンボール箱ごとパルパーに投入して溶解処理するため、情報漏えいの心配もありません。
    さらに、費用は月払いのレンタル式で、初期費用は一切かからない仕組みとなっています。お客様のニーズに合わせて、BOXのタイプをお選びいただくことが可能です。

ISSでは、企業様がESG経営の第一歩を踏み出すための様々な支援策をご用意しております。ぜひこの機会に、オフィスの紙書類のリサイクルから検討されてみてはいかがでしょうか。詳しくはISSの「エコロジーリサイクルサービス」をご覧ください。