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ペーパレス化でオフィスのデジタル化を実現するための第一歩とは

オフィスの膨大な書類をどうする?~安全かつSDGsに対応した書類廃棄とは~

従来からの商習慣などによって、膨大な文書が蓄積されているオフィスは少なくありません。昨今、叫ばれるデジタル化を目指して、ペーパーレス化を検討する企業が増えていますが、実際にはどのようなメリットが得られるのでしょうか。また、ペーパーレス化を実現するためには、どのような作業から着手すればよいのでしょうか。

今回は、SDGsやESG経営、テレワーク推進にも合致するオフィス文書のペーパーレス化の進め方について解説していきます。

ペーパーレス化のメリット・デメリットとは?

官民ともにDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する昨今、オフィスの管理者にとって悩ましいのが、紙の文書のペーパーレス化です。

「ペーパーレス化は行うべきと理解しているものの、実際にはどこからスタートすれば良いのか分からない」という企業も多いでしょう。まずはペーパーレス化の意義や、そのメリットについておさらいしてみましょう。

ペーパーレス化とは、紙の文書をデジタル化することや、不要文書を廃棄することなどを指します。具体的には、文書を整理して不要なものは廃棄・リサイクルして再生紙にしたり、紙の文書をスキャンしてPDFなどのデジタルファイルにしクラウドで管理したり、あるいは最初からデジタル化することで紙の使用を減らしたりすることです。

一般社団法人日本能率協会が2021年11月に発表した、全国のビジネスパーソン1,000人に対して行った意識調査によると、職場におけるペーパーレス化に「メリットがある」と答えた人の数が82.5%に達しました。全体の8割超の人がペーパーレス化になんらかのメリットがあると考えているのです。

では、ペーパーレス化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主には以下のメリットが挙げられます。

  • コスト削減(紙代やファイル、保管用の棚などが不要になる)
  • 紙資料の共有の際のコピーやホチキス止めなどの手間の削減
  • 省スペース化(保管場所が不要になる)
  • 業務効率化・生産性の向上(デジタル上で閲覧、やりとりができるため、テレワークの推進に繋がる)
  • 環境保護への貢献(紙資源を消費しない、紙ゴミを出さないなど)
  • 社内資料の見える化(デジタル化によって社内で共有しやすい)
  • セキュリティの強化(物理的な紛失、盗難のリスクが低い)
  • 企業イメージのアップ(SDGs、ESG経営への取り組みとして評価される)

ペーパーレスは、多くの企業にとってメリットがあると考えられているわけですが、「賛成だが不安がある」「デメリットがあるのでは?」などの意見が存在することにも目を向けておくべきでしょう。以下のデメリットや不安材料も考えられます。

  • 導入コストが必要(時間と人件費が必要)
  • 紙の資料と比較して視認性が低下する(慣れていない場合はPCやスマートフォンでの文書閲覧が負荷になる)
  • 機器やシステムが故障した場合、利用できなくなる(紙と違い、保管している文書がすべて閲覧不能になるリスクがある)
  • 利用者にITリテラシーが必要(文書によっては閲覧にIDやパスワードの入力も必要)
  • コピーなど紙資料の共有の手間の削減

このようなデメリットや不安材料はあるものの、2021年9月のデジタル庁創設によって始まった脱印鑑などの行政事務の電子化の効果や影響が大きく、現在は多くの民間企業がペーパーレス化を推進しています。

また、ペーパーレス化に対する期待は、実際にペーパーレス化を進めている企業ほど高まっています。前述のアンケートでも、「9月にデジタル庁が創設され、行政事務の電子化が進むことで企業においてもペーパーレス化が進むことを期待しますか?」という質問に対し、全体では「期待する(36.5%)」と「期待しない(36.2%)」が拮抗しています。しかし、自社のペーパーレス化が「とても進んでいる」という企業の回答では、72.2%が「期待する」となっています。

以上のことから、ペーパーレス化は体験してみるとメリットをより強く感じられることがわかります。同協会のアンケート調査から1年以上が経過し、ペーパーレス化が加速している現在は、こうした傾向がより強まっているものと考えられます。

(参照:一般社団法人日本能率協会「2021 年「ビジネスパーソン 1000 人調査」【ペーパーレス化の実施状況】」)

ペーパーレス化の妨げとなる紙の文書が必要な業務とは

ペーパーレス化の必要性やメリットを頭では理解できていても、これまで紙の文書を用いて行ってきた業務をいきなりペーパーレス化していくのは決して簡単ではありません。どれもこれもすぐにデジタル化できるわけではないのが現状という企業も多いでしょう。

では実際、紙を使う仕事や、紙でなければ進めにくい業務はどの程度存在するのでしょうか。ここからは、2022年7月にビジネス情報サイトのBizClipが実施した文書管理実態調査を参考に、紙を使う書類について考えていきましょう。

紙の書類が必要となる業務工程を回答が多かったものから順に見ていくと、以下のようになります(複数回答)。

  • 契約・申請書類(62.5%)
  • 取引先・顧客への請求・見積もり(46.3%)
  • 社内会議資料(39.7%)
  • 手順書・マニュアル・チェックシート(39.0%)
  • 受発注書(35.9%)
  • 社外会議・プレゼン資料(35.3%)
  • 社内稟議・申請(30.6%)
  • 業務・案件の管理(24.9%)
  • 顧客情報・カルテ(15.6%)
  • その他(2.1%)

これらのデータからは、契約書や申請書類、請求書、見積書、受発注書など、社外に書類を交わす相手がいる業務ほど、紙の書類を使う割合が高いということが伺えます。こうした書類の多くは、押印を必要としていることが多いため、どうしても紙の文書となってしまうようです。しかし、行政が印鑑を廃止したように、民間の企業でも脱印鑑が進むことによって、従来紙を必要としたこれらの文書もペーパーレス化が進んでいくことになるでしょう。

同じように、紙の文書を使用する機会の多かった社内外での会議やプレゼンでも、事前に電子化ファイルを配布する形に移行することによってペーパーレス化を進めることが可能です。手順書、マニュアル、チェックシートなどにおいても、パソコンの他、スマホやタブレットなど携帯性の高いデバイスが普及している今、ペーパーレス化はセキュリティーの面からも推進されるべきものといえます。

また、業務・案件の管理や顧客情報、カルテなど、随時更新されるような文書は、紙よりもむしろ電子化した方が業務は大幅に効率化されます。

世の中では、保険証券などでも電子証券化が進んでいます。取引先やお客様に渡すような文書をいきなりペーパーレス化するのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、現在のペーパーレス化の流れを考えれば、決して無理難題というわけではありません。このタイミングでペーパーレス化を提案することで、取引先やお客様に喜ばれる可能性もあるのではないでしょうか。

オフィスのペーパーレス化の第一歩は適切な文書管理

実際に文書のペーパーレス化に取り組む場合、何から始めれば良いのでしょうか。代表的な電子化のケースとして挙げられるのは、稟議システムや経理システム、電子決済システム、電子署名システム、勤怠管理システム、文書管理クラウドなどのITツールの導入です。

しかし、ペーパーレス化においては、知識や人材、費用が必要となるシステム導入の前段階で、いくつかの準備を行っておく必要があります。優先順位で考えると、文書のペーパーレス化で最初に取り組むべきは「文書管理」です。

現在、オフィスにどういった種類の文書がどのくらいあり、どこに保管されているのか。それらをしっかりと把握することが大切になるのです。

  • ①どのくらいの量の文書がオフィスに保管されているのかを把握する
  • ②把握したら分類する
  • ③最適な保管方法=ペーパーレス化を考える

①~③のどの段階でも構いませんが、ペーパーレス化にあたっては、並行して進めておくべきものも存在します。それが以下の④~⑦です。

  • ④経営層の承諾・理解を得る
  • ⑤従業員の理解を得る
  • ⑥ストレージサービス、文書管理クラウドの選定
  • ⑦ペーパーレス化(スキャニング、不要文書の廃棄)などを委託する外部サービスの選定

文書のペーパーレス化は全社的な取り組みとなるため、経営層や従業員の理解・協力は欠かせません。そのためには、大量にある文書や業務のうち、どれからペーパーレス化を推進していくか、部署間を跨いでのコンセンサスが必要となります。そのような議論を進める上でも、まずはどの文書がどこにどれだけあるのか、保管されている文書を把握しておくことをおすすめします。文書を徹底的かつ適切に管理することで、その文書を電子化して保存するのか、あるいは廃棄するのかを判断することもできるからです。

文書のペーパーレス化は、手当たり次第にすべての文書を電子化すればよいというものではありません。本当に必要な文書を選別し、不要なものを廃棄していく業務であると考えたほうがよいでしょう。

この他、ペーパーレス化には法令の遵守等、注意すべき点もあります。2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法では、文書の電子化における要件が緩和されました。企業にとってはペーパーレス化がしやすい環境が整備されたことになります。ただし、何も知らずにペーパーレス化を進めると法律に抵触してしまう可能性があります。この点は十分に確認をしておいた方がよいでしょう。

オフィスのペーパーレス化に着手する際、最大の課題となるのは人手不足や時間不足かもしれません。電子化や文書廃棄、保管についてお困りの際は、外部サービスを利用してみてはいかがでしょうか。ISSでは、オフィスのペーパーレス化を推進したいお客様に最適なサービスをご提案していますので、お気軽にご相談ください。


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